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『力・11』(キケルカ、ゴドエリ)-3 

「何故来た・・・」
「ゴドーだからな」
「・・・」
駆けつけた部屋で、ルカスは横になっていた。
顔色は悪く、憔悴しているように見える。
エリックから聞いていた、ルカスの受けた屈辱。
それを避けようと動いていたのに、
避けられなかった。
「ハンクが何のためにおまえを、サリトの元にやったのか知らないのか」
「俺は自分の意思であいつの元に行った、
 それに、今一番狙われてんのは俺じゃなく、ハンクさんだ」
「・・・」
「現職ゴドーを殺させるわけにゃいかねぇだろ」
「そうだな」
「戦況を教えてくれ」
「・・・兵長が撃たれた」
「・・・」
「おまえにはハンクの助力に向かってもらう、
 それと、彼女を医務室に」
ルカスへ奇襲を掛けた窓口の女は気を失い、
軽く拘束され、ずっと部屋の中で横たわっていた。
ゴドーが何のためにルカスの元に来たのか、
自分の仕事を求めてきたのだろう。
ルカスの判断は賢明だった。
「聞け、この件は、すでに死人が出ている」
「・・・」
裏切った窓口、殺された参謀。
「今日に始まった事件じゃねぇな、こりゃ、
 ・・・俺達は学生だから、隠されてたのか?」
「いや、俺が疑いを掛けられていたためらしい」
「・・・おまえと繋がりのある俺も纏めて?」
「ああ」
「・・・」
「エリックはどうした」
ルカスの横、落ち着かぬふうに、キケロが声を上げた。
「無事だ」
自らの手で、救えはしなかったが、
無事であること。それに感謝しなければならない。
「一緒じゃねぇのか」
「置いて来た」
「ああ?!」
「収集を掛けられたのは俺一人だ」
「・・・収集?」
「ハンク・ジェキンスは俺を疑っていたが、
 マルクス・フィオーレは俺を信じた。
 だから戦力として連絡を受けた。
 丁度、首謀者がキケロ邸に居る情報を、
 エリックが手に入れてすぐだったな」
「・・・」
危険のある場に、収集をされたゴドーの、
意思を思うなら背を押してやるべきで、
命を思うなら腕に縋るべきで、エリックは背を押した。
その時のエリックの決断が、
どれほど苦しいものだったかを、
考えてルカスは溜息をついた。
「つか、何で置いてくんだよ」
「連れて来るよかましだろ」
「あいつが素直に置いとかれる奴だと思ってんのか?!」
「・・・俺の危険を、
 あいつは認めた、
 なら俺はあいつの危険を、
 認めなきゃならねぇ」
「っ・・・」
「じゃぁな」
気を失った例の窓口の女を担ぎあげ、ゴドーが場を去る。
取り残された二人には、言いきれぬもどかしさが残った。
感情と理性のどちらが正しいのか。
エリックとゴドーの選択は、理性の元に美しかった。
ただキケロとルカスに今まで、反発するしかなかった互いの気持ちを、
気づかせてくれたのは感情に従った結果だった。
「キケロ」
「何だよ」
「何時までもあいつらに、甘えているわけにはいかない」
「・・・ああ」
どこかでマルクス・フィオーレがことの真相を知ったこと。
サリトの元で、エリックとゴドーが顔を合わせたこと。
悪くも良くも繋がり合って、事態は動いている。
「まず移動だな」
「は?」
「・・・俺は恥を捨てるぞ」
「・・・」



11月3日(土)10:14 | トラックバック(0) | コメント(0) | 力シリーズ※メイン | 管理

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