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『力・11』(キケルカ、ゴドエリ)-5

「ゴドー・・・」
「・・・ん?」
「いいか、敵は違法武器保持者だ」
「・・・」
「一番に優先するのは、まずおまえの命だぞ」
「・・・」
一瞬、ゴドーの瞳が楽しげに輝いたが、
それは本当に一瞬だった。
「その命令はすでに受けてるぜ」
ふっ、と浮かんだ笑みは小さく、普段のゴドーと比べて、キケロは違和感を覚えた。
「何かおまえが数歳年上に見える」
「そうか?」
気を張っているせいなのだと思うが、ゴドーの反応は一々小さく、無駄がない。
キケロの中で、あのハンクの据わった目と、このゴドーの冷めた調子が重なる。
「やっぱ俺は、お前等みてぇになるのはごめんだぜ」
呟くと、ルカスへ了解を取らずくるりと方向を転換した。
「おい・・・」
まだ話すことがあったのか、ルカスから苦情が出たが無視する。
ゴドーの視線が、背に刺さるのを感じた。
「キケロ」
「・・・何だよ」
「主人が世話を掛ける」
「・・・ああ」
完全に、ゴドー・ジェキンスとしての、
意識に目覚めた友の言葉が胸に染み、苦しい。
「そうか」
「あ?」
そこで突然、ルカスが呟き、歩が止められた。
「親玉は通信室の者だ」
「・・・え」
「トート・マグランに面識の無い者が、
 兵士の中に居るか?!
 ハンクとマルクスと、あれだけ打ち解けていた人間だ、
 フィオーレ内部の人間であればトートを、
 内に入れない者などいないだろう!」
「・・・」
トートからの苦情、フィオーレの領土への、侵入を許されない不思議。
ヴェレノとはいえ、フィオーレには顔見知った男であるにも関わらず。
「アウレリウスとして来たにしても、今の状況を考えれば、
 道を通してしまうのが正しいフィオーレの兵士の判断だ」
「まじか」
「見えて来たぞ、情報の集結するあそこに、
 敵が居たならこの窮地も頷ける」
「ってことは今から向かうとこ、
 敵の本拠地ってか?」
「ハンクを遠ざけ、おまえとゴドーで乗り込む」
「誰を遠ざけると?」
声に振り向けば数人の兵士と共に、ハンクが立っていた。
どこか晴れ晴れと、表情が明るい。
「私はフィオーレのゴドーですよ、
 どういった状況でも戦線を退くわけにはいきません」
「ハンク・・・」
「マルクス・フィオーレの敵を討ちに行きます」
「12代!兵長はまだ生きてます」
「・・・黙りなさい」
ボケと突っ込みが成立したためか、
兵士達が笑い、一体感が生まれた。
「君」
「は!」
丁度発言をした男、歳は若いが以前、
他地域の兵士交流の試合で良い成績を残し、
ゴドー試験さえ進められる実力者で、
少し顔の知れた男だった。
名はアキレス・ドナー。
「アキレス君と言ったか」
「はい、ルカス様」
自分の記憶力に感謝し、ルカスは笑みを浮かべた。
「君は下の階に回れ」
「・・・は!」
「通信室は二部屋あるんだ。
 下は諜報部だ、普段は物置にされているあそこだ、
 進めば階段がみつかるはずだろう」



11月3日(土)10:11 | トラックバック(0) | コメント(0) | 力シリーズ※メイン | 管理

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