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『力・11』(キケルカ、ゴドエリ)-6

「諜報部・・・」
存在はあるが、居場所の知れずに居た、
特殊な部の情報に兵士達がざわざわと顔を見合わせる。
幹部と一部の特別兵までにしか、
知らされずにいた情報が公開され、
いよいよ事態が深刻であることを兵士達は悟った。
「では彼より左に立つ者、
 緊急に彼の下についてもらおう、
 健闘を祈る」
次期当主直々に命じられたためか、
どこか浮き足立ったアキレスに続き、
7,8名の兵士が階を下って行く。
「っとと・・・」
持ちなれない防弾具にふらついた最後の一人に、
ルカスがまた目を光らせる。
「今ふら付いたな」
「あ、・・・あの!」
「『俺係』に任命する」
「え?」
「今俺を抱えるこの男は戦力として使いたい、
 代わりに俺を抱える人間が必要になるだろう」
「・・・」
「うわー、羨ましいですね~」
ハンクがからかいの声を上げ、他の兵士達もまた笑った。
皆がルカスの具合の悪いことを了解している不思議。
それは顔色に出ているせいもあるが、
とある噂の出回っているせいでもあった。
「・・・では、失礼して」
キケロの腕に居る、主人へと手を伸ばした兵士を、
思わず睨んだキケロの気持ち。
「おい・・・」
ゴドーの嗜めに舌打つと、素直にルカスを預けた。
「それではルカス様、失礼します」
「皆生きて帰れ」
「もちろんです」
兵士達の背を見送り、ルカスは己のもどかしさに気づく。
惜しむは我が身の不調。
それと非力だった。
ルカスにはゴドーやキケロのように、
その身一つで事態を急変させるような力がない。
昔、従兄弟であるマルクス・フィオーレと共に、
叔父とそのゴドーの、力を合わせた闘いの場に居合わせたことがある。
今より一つ前の代の、熟練したゴドーだった。
フィオーレは平和だが、フィオーレを出れば平和ではなくなる。
叔父の命を狙ったものだろう、襲撃にまっ先に気づいたゴドーが、
マルクスとルカスの目の前、手早く複数の敵を一掃した。
叔父は事態を見つめ、観察し手を読んで敵の正体を掴んだ。
それは今のルカスには、見習うべき手腕であり、
主人の側としての素晴らしい仕事だったが、
小さなマルクスとルカスにはゴドーの暴力の、力強さと美しさが、
只管に格好良く映ったもので、それからすっかりゴドーに夢中となった従兄弟の横、
ルカスは自分の力の限界を知っていた。
冷めた子どもであったと我ながら思うが、
あの時力に憧れ、ゴドーを目指すものの入る寮へ、
異例の入寮を果たしたマルクスと、
今の自分を比べる。
まず初めに、キケロの力の圧力に屈しずるずると関係を引きずって、
さらには名も知れぬ男達の圧力に屈し、
結果足手纏いとなり、戦いに居合わせることさえできない。






11月3日(土)10:09 | トラックバック(0) | コメント(0) | 力シリーズ※メイン | 管理

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