| 『力・12』(ゴドエリ、他)-2 |
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| 「ルーカス・・・」 医務室の叔父は思ったよりも元気良く、 ルカスに抱きつき、囁くように名を呼んだ。 その声に心労が伺えて、責める気力を奪われてしまった。 「叔父貴」 「ハンクから聞いたろう、さぞ腹が立ったに違いない、 私を殴ってくれてもかまわないよ」 「はは、これ以上の怪我はハンクの機嫌を損ねます」 「あのゴドーはどうも神経質でいかん、ゴドーというのは、 もっと大らかな生き物でないと」 「彼はその分賢い」 「おかげで私はたまに蚊帳の外だ」 「蚊帳の中をしっかりと把握されているなら、 敢えて外に出されるぐらいが宜しいのでは」 「おまえも彼の味方か」 「叔父貴、・・・彼は疲れています」 「知っているよ、それは精神の負担が大きい」 「・・・」 そこで一度笑みを浮かべ、言葉を捜していたルカスの目にふと、 気絶したはずの窓口の姿が映った。 「ゴドーというものは本来はただの護衛です」 きっぱりと言い放ち、一歩前に出た。 「主が気にされる必要はありません」 「ソニア!」 驚きと焦りで名を呼べば普段通りの、 にこりともしない目線で返事が来た。 「・・・先程はご無礼を、ルカス様」 「どういうことだ?」 「彼女は二重スパイをしていたんだよ、 どうしてもおまえとだけは接触が取れず、 最後の最後で捨て身の潜入をしたんだ」 「・・・捨て身?」 「攻撃をし、撃退され拘束されている間、 お二人の会話を盗み聞き致しました」 「・・・」 「御友人・・・いえ、 御愛人のキケロ様、 並びにルカス様は、 無実でありました」 「・・・会・・話」 「悪趣味かと思いましたが、 事は緊急でした」 「・・・そうだな」 叔父がまた楽しく優雅に笑い声を上げている。 「俺も聞きたかったなぁ、 ルカ先輩とキケロの寒ーい会話」 「教えても宜しいですか、ルカス様?」 「宜しいわけがないだろう」 「残念です」 「残念だね」 エリックと相性良く冗談を言う彼女の、 只管の無表情にルカスは眩暈を覚えた。 ルカスの好む表情の豊かで、華やかな女性像とは間逆に居る彼女は、 しかし昔から姉のように、ハンクと共にルカスを囲んでくれていた。 「では叔父貴、ハンクは、ゴドー達は・・・、 敵をしっかりと把握できているのでしょうか?」 「ああ」 「・・・良かった」 思えば部屋に顔を出した時、 覇気の無かったハンクの顔が、 階段の上で見た時にはいつもの、 不適な調子に戻っていた。
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11月3日(土)10:06 | トラックバック(0) | コメント(0) | 力シリーズ※メイン | 管理
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