| 『力・4』(エリック+ゴドー+キケルカ)-5 |
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冷静に体格で考えれば、ボーンが三人の中、一番に有利だったのだ。 それに早く気づけば良かったのだが、 気づかせない雰囲気が、エリックにはあった。 暴力に出た途端、金縛りにでも遭わせるような、 力のある瞳はボーンを無力にしていた。 「それにしてもフランク君、 弱いくせに良く助けに来てくれたな! 惚れかけたよ」 「てめぇ、誰が弱ぇって?!弱くねぇぞ俺は?!」 ブルーノの来訪は本来の、背も高く腕も長いボーンの、 身体的有利を気づかせるのに良い刺激となった。 「くそ、俺がどんだけ意識して強そうに見せたかとか知らねーで! ぜってーサリトに言いつけてやるからな、 てめぇが格下にビビってたってな」 「うわー、大爆笑される・・・」 「それで済むんだから憎いよなてめぇは・・・うを?!」 押さえつけられているにも関わらず、 エリックの蹴りがブルーノの頬を掠る。 「誰が格下?!むかつく言い回しするねぇ? まったく酷い話だよ! ちょっと勝てそうで嬉しかったのに、 あんた弱い奴ってオチ?!」 「バッ・・・! 一般の奴の基準でじゃねーぞ?! あくまでウチの連中の中でっつか・・・! くそっ・・・! ボーンの軽口野朗! 前々からてめぇは信用できねぇと思ってたんだよ!」 「え?!俺のことそんなふうに?! 酷!!!・・・あっ!」 鳩尾、エリックの肘鉄が成功しボーンがよろめいた。 エリックを捕え油断した二人が言い合いを始めた中、 エリックは機会を伺っていたらしい。 丁度ボーンが力を緩めたのを見計らって、 ボーンの腕から逃れちゃっかりと携帯を取り返し、 出口に走る背が忌々しい。 「ボーン!!!」 ブルーノの怒声が響いたが、 エリックは戸を勢い良く開いた。 しかしまた勢いよく閉じる。 二人が疑問に思い駆け寄り、再度戸を開くと、 眼前には仲間の顔が晴れ晴れしく広がり、 その顔立ちに似合う美しい潔さで、エリックが両手を挙げる。 「まいったね」 「ざまぁみろ」 「こ、・・・怖かった~」 それぞれの感想が上がる一方で、 ブルーノは後ろからエリックを小突いた。 今度は反撃はない、状況の判断ができる男らしい、 エリックの無抵抗はブルーノを醒めさせ、 基本的に暴力を嫌っているボーンは胸を撫で下ろした。 「エリック!」 その時響いた声に、誰もが凍りついた。 店の奥から、あれだけの間を空け、 暴力男が顔を出した。 「遅いよ」 憎まれ口を叩くエリックの横で、男の恐ろしい形相にボーンは言葉を失い、 ブルーノにしがみ付くと思い切り振り払われた。 「行けっ!」 ブルーノがエリックとボーンを、 蹴り出して店の戸を閉めたのがわかる。 「え?!」 閉まった戸は内側からカチャリと鍵を掛けられた。 そこで初めて、ボーンは使命感に駆られると、 横に居る、エリックの腕を掴み逃がすものかと力を込める。 「ッ」 舌打たれたが無視し、周りを見れば、 無言の協力の手がエリックの身を拘束した。 「くそっ」 車の後部に放られ、身を崩したエリックは、 それでも力の消えぬ目で、ボーンを見た。 「っ・・・」 「忘れてないね」 呟かれた言葉に思わず頷く。 頷くしかなかった。 車が発射し、後ろで扉が勢い良く開く。 「ちくしょう!」 伸びたブルーノを受け止め、 良くやったなぁ、と心内で労う。 みるみる遠のく車を、 暴力男は睨んでいた。
続
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12月5日(水)01:07 | トラックバック(0) | コメント(0) | 力シリーズ※メイン | 管理
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