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『or』(ゴドー+キケロ×ルカス)-1 ※R16

一部性的なものを匂わせる表現があります。苦手な方は注意して下さい。



***


「フィオーレ!」
「・・・何だ」
「物理貸せ、おまえんとこ1限だったろ」
「だったが、貸す気はない」
「何でだよ」
「何でもだ」
廊下側、顔を出したキケロと、
自席に着いたまま、不機嫌なルカスの対立。
「つか、まずこっち来い!」
窓際、先頭のルカスの席と、
廊下の後ろ側の戸に居るキケロの距離は遠い。
大声の遣り取りは教室中に響いていた。
「またかよあいつら」
「・・・」
「ゴドー、仲裁しなくていいのか?!」
廊下側、先頭の机の周りに屯するグループの、
中心でゴドーは溜息をついた。
「キケロ」
呼ぶと、こちらを向いた友に、
呆れた顔を向ける。
「俺のじゃ駄目か?」
「駄目だ」
きっぱり言い切られ、渋顔をつくったゴドーに構わず、
キケロはゴドーを視界から外すと、
つかつかと教室に侵入して来た。
ルカスの元に行き、何か喚いている。
「ゴドーふられた」
「・・・うるせぇ」
友人等に囲まれた、ゴドーの圧力は大きい。
どこの教室にも、中心核グループはいるもので、
それがゴドーを軸にしたこの集団だった。
キケロはその強者の圧力にまったく、屈することがない。
「あいつあれだろ、エリック君にもちょっかい出してんだろ」
「ああ」
「ゴドーのことライバル視してんじゃねーの」
「・・・かもな」
「うざくね」
「・・・」
「でもすげー喧嘩強ぇらしいぜ」
「まじで、ゴドーピンチ」
好き勝手、コメントを作る友人の言葉を、
聞き流しながら観察をする。
ルカスが着席したままの、ルカスの机の中に、
後ろから腕を突っ込み掻き回しては教科書と、
別のものを取り出してルカスをからかっている。
キケロの楽しげな様子と違い、
ルカスはどこかぼんやりと、諦めたように被害を受けていた。
「つかアレ、フィオーレ君虐められてんじゃね」
「・・・」
「怖ぇぞ怖ぇぞフィオーレ一族はー、
 ねーゴドー!あいつほっときゃ破滅するかも、
 良かったね」
「・・・悪い奴じゃねぇぞ、あいつ」
「やだ優しい!敵のフォロー!」
「・・・」
冗談に身をくねらせ、頬に手を当てる友人に微笑を送り、
目の先、すでに見つけ出した物理の教科書を控え、
今度はルカス自身を突きだしたキケロに眉を寄せた。
「にしても、異様だなーあの図」
「何か弱みでも握ってんじゃねーの、
 ルカちゃんさっきから凄い静かなんだけど」
「・・・」
一応、将来の主人であるから、
一応、世話になっている先の、人間であるから。
理由をつけると安定した心が、
ゴドーの背を押した。



12月9日(日)19:24 | トラックバック(0) | コメント(0) | 短編 | 管理

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