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『力』(エリック他 キケロ×ルカス)-4



「聞いてますか、ルカ先輩」
「・・・何だ?」
「だから、ゴドーが、・・・サリト・シュトールと接触を、
 持とうとしてるんですよ、知ってると思いますけど、
 サリトっていうのは、ここらじゃ名の知れた馬鹿の親玉で、
 キケロがこんなになっちゃったのも、
 ほとんどはあいつが原因なんです」
「サリトとは友人だ」
「・・・初耳ですね、それ、
 まぁいいや、知ってます?あいつのやり口!
 姑息で、・・・卑怯な、賢いやり方ですよ、
 こいつのを例に出すと、あー、何だっけ」
「最初は相談に乗ってくれんだよ、
 俺はあん時おまえのことで悩んでて、
 つまりヤりてーってな」
「・・・あっそ」
「そりゃぁもう親身!
 なんてったってあいつもそっちの気があって、
 で、一回抱いたこともあったけどよ、
 若干心変わりしそうになったもんだ、
 あー、何だったっけか」
「手順、相談に乗る、親身になる、その後・・・」
「初陣に出されて・・・」
「勝たせて自信を付けさせる、怖いものは無い、
 って気持ちにさせて・・・、
 土地を持たせる」
「責任つきでな、・・・あれがかったりぃんだ」
「その後は、俺を襲えって指示して、
 キケロの気持ちをさらに掴もうとしたんだね、
 でも、キケロが愚図って、
 ・・・言うこと聞かせるために、
 恐怖を植えつけるっていう」
「あん時なぁ、愛だったなぁ、
 俺は本当におまえが好きだったんだなぁ」
「結局襲って来た奴が何言ってんの」
「・・・」
「土地持ちになると、抜け出せなくなるんだよ、
 その土地の責任が掛かって来て、
 治安を良くしないと、制裁が・・・」
「その資金を、フィオーレが出している」
「・・・」
「警察沙汰を、揉み消すのも、
 フィオーレだ」
「・・・どういうこと?」
「俺の従兄弟がサリトを雇っている、
 ただ、サリトは化け物だ、
 彼は単に、敵に回したくないだけだろう」
「・・・嫌な世界」
「何とでも言え、使いようによっては便利な奴だ」
「サ、サリトを便利呼ばわりかよ?!」
「超人を恐れてばかりいるのは愚者だ」
「そりゃ俺が愚者だって言いてぇのか」
「ああ」
「・・・後で覚えとけ」
「・・・」
「ちょっと何?喧嘩?
 ゴドーのことハブってラブラブしといて?
 この騒動の責任の、半分はアンタ等にあるんだよ?
 っていうか、そろそろ話してくれてもいいんじゃない、
 ゴドーと喧嘩でもしたの、
 アンタ等」
「ゴドーと、いうより、俺とこいつが、
 喧嘩をし、ゴドーは板ばさみなんだ」
「・・・喧嘩、してるようには見えないんだけど」
「俺が敗北済みだからな、
 現在奴隷状態にある」
「キケロの?」
「ああ」
「何それ、傑作、アンタがキケロの奴隷してるって、
 キケロが・・・アンタに勝った?」
「ああ」
「・・・ごめん、ちょっと感情が波打って、
 キケロ、殴っていい?」
「鼻はやめろよ」
「そこはせめて拒絶しろよこの真性マゾヒスト!
 逆に喜び与えそうで嫌だから我慢してやる!!」
「殴られて喜ぶかよ!てめーだから許すんだろ?!」
「は?わけわかんないし?
 っていうか、やっぱり許せないんですけど!
 ルカ先輩が・・・どうして?!
 ってか奴隷って何してんの?!」
「色々だ」
「まさかさっきの半裸も何か、
 虐め的な流れで、強制ストリップとか、
 ああ、駄目、情けな!
 そんなルカ先輩やだ」
「エリック」
「・・・すいません」
「何れ逆襲する、
 できたら、
 あまり首を突っ込まずに居てくれ」
「でも、俺、力になれるかもしれないんですけど」
「他人の力で開放されても、嬉しくないだろう」
「っつーかおまえ、
 奴隷に生きがい感じて来ちゃったんじゃねーの?!
 俺と関係終わんのが寂しくなってんだろ」
「・・・希望は聞き飽きた」
「キケロじゃあるまいし、奴隷なんか先輩に似合わないよ」
「てめーな、俺だっておまえ以外の奴隷なんざ御免だぜ」
「っていうか、さっきからさり気無く口説いてこないでくれる、
 今大変な事態なんだよ、知り合いにサリトの情報を御願いしてるんだけど、
 一向に連絡こなくて、あと20分待って来なかったら探しに行くつもり」
「俺も行くぜ」
「当然、・・・ルカ先輩は?」
「こいつは、足手纏いになるんじゃねーか?!」
「確かに」
「御前等・・・」
「嘘ですよ、ルカ先輩、来てくれると心強い」
「大事な友人の危機にじっとしてはいられん」
「おい・・・!」
焦ったよう、キケロが声を上げ、
それがルカスの身を案じてのことだと、
わかり顔が熱くなった。
「何?」
「いや・・・」
空気の張ったのを、即座に感じ取り、
エリックが疑問を口にする。
「では、20分後に備え、
 俺は少し汗を流す、
 服がどろどろだ」
「あ、・・・手伝うか?」
「何を?」
ルカスの、退室に伴い自然と腰を浮かしたキケロを、
繋ぎ止めたエリックの言葉は鋭く、二人をまたどきりとさせた。
ルカスの気持ちを汲んでか、個人的な都合か、
キケロはエリックに、
ルカスがキケロにどのように扱われているかを報告しない。
「いらん、それより、エリックに手を出すなよ、
 奴隷の反逆の日が早まるぞ」
「出せねーよ」
「・・・そうか」
大事ならば迂闊に、関係を持てない、
過去壊れた信用を、取り戻すのに必死の、
キケロの一途さに何故か悔しさを覚える。
共に過ごすにつれて、
ぽつぽつと語られた、
キケロのエリックへの想いは、
強く切なかった。
すでに失った気持ちへ、
縋りつこうとするキケロを、
応援し掛け、首を振る。
エリックに対し、可能性のあるのは、
やはりゴドーだと信じたい。
ゴドーを通じ、エリックの目を見ていたい。
二人の傍で冗談を言っていたい。
自分の行き場がわからない。






12月13日(木)23:30 | トラックバック(0) | コメント(0) | 力シリーズ※メイン | 管理

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