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『力』(エリック他 キケロ×ルカス)-2



「・・・!」
ばったり、目が合って思わず進路を変える向こう、
ゴドーの教室付近、エリックは眉間に皺を寄せた。
ゴドーは二日前から、目に見えてエリックを避けている。
「ゴドー!!」
思わず名を呼んで追いかける。
いつもの自分ならもう少し冷静に、
もう少し賢く、対処するはずの、
他人の不可解な行動に胸が騒ぐ。
「何なんだよ、おまえっ!」
明らかにエリックを撒こうと、
早足になった向こうに対抗し、
こちらも早足に追いかける。
「ゴドー!!!」
エリックの張り上げた大声に、
廊下中の目という目が二人を捉えたが、
ゴドーはその広い、がっしりとした背で、
悠然とエリックの存在を遮断したまま、
階段を下り、逃げ去ろうとする。
「ゴ・・・」
再び叫ぼうと口を開けた時、
両肩にズシリと重みが掛かった。
「どしたのエリックー!
 まさかの破局~?!」
「カルロ・・・」
恐らく、後ろから体重を掛けて来ている主は、
お調子者のトラブルメーカー、友人のカルロ。
彼が居るということは、と振り向けば、
同じく友人のダダ、リオネも不思議そうにこちらを見ていた。
「・・・なんか、変なんだよね、最近のゴドー」
皆の視線に返答するため、不機嫌を隠し弁解をした。
「あー、ちょっと、元気ないかもな」
リオネの相槌が入った瞬間、不機嫌の飛んだエリックは、
相当にゴドーの思惑に夢中になっていた。
「え、部活でも様子おかしい?」
「おかしい、ってわけじゃないけど、
 なんか怖い感じかな、怒ってるわけじゃないんだろうけど、
 どうも絡み辛くなっちゃったっていうか」
「・・・」
ゴドーと同じバスケ部に所属する、
リオネの証言はエリックに一つの確信をさせた。
自分ばかりがゴドーに壁を作られているわけではない、
ということ、それに、安堵する自分が憎らしい。
「っつかさー、
 エリック最近良くゴドー先輩んとこ行くから、
 俺等さりげ寂しいんだけど」
「・・・」
「何かあったのか?」
初めは小さな心遣い、それは、
ゴドーの一番の友人とも言えるルカスの浮気に始まる。
つまりルカスがキケロ・マグランと、
急速に仲良くなりゴドーを疎外しているように見えたこと。
ゴドーが飼い主に捨てられた犬のように、
寂しげに一人でいるところをよく見かけ、
つい駆けつけたこと。
それから、
「二日前、一緒に、帰ってた時にさ・・・」
蘇る情景は、赤い空と黒い陸橋、
丁度二人並び、陸橋を渡っていた。
ふいに下の道路に目をやったゴドーが緊張した様、
固まって次の瞬間、駆け出したこと。
エリックを置いて。
「追いかけたけど、なんか、
 バイクに乗った、変な奴と会話してて、
 キスされてた」
「は?!」
「だから、その、男だったんだけど、
 バイクの奴、・・・パーマで!
 ・・・パーマ?!じゃ、あいつ!」
「???」
エリックにしては気づくのが遅かった。
思わずリオネに視線をやったのは、
エリックを悩ませていたそのバイクの男が、
リオネの兄であったからだ。
「ありがと、リオネ!!!」
「は?」
「おい?!エリック?!」
自白の途中で答えを出してしまったエリックに、
置き去りにされた三人の頭には、何の形も見えてこない事件の、
全貌がエリックの中でだけ、しっかりと出来上がった。
「おいっ!!!」
走り去るエリックの背へ、不満たっぷりに、
ダダが声を掛けたが無駄だった。
急がなければゴドーが破滅する。
エリックの気持ちは急いて、友人の苛立ちを察する余裕がない。
リオネだけが一人、直感的な不安に駆られていた。




12月15日(土)23:24 | トラックバック(0) | コメント(0) | 力シリーズ※メイン | 管理

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