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『清く優しく』(キケロ×ルカス)-2 ※微裏


突っ伏した状態のルカスの声は篭って、聞き取り辛かったが、
ここ最近キケロの中で沸き始めた疑惑に、
火をつけ確信に迫るには充分な発言だった。
「・・・おまえ、俺のことちょっと気に入りだしてんだろ」
「どんな思い上がりだ」
「今日一日、別々に過ごすって手もあんだろ」
「・・・思いつかなかった」
「なぁ御願いしてみろよ、
 今日一日一緒に居て下さいってよ、
 そしたら清く優しくなってやる」
「・・・」
一見寝ているようなルカスの後頭部に、
じっと視線を送り返事を待ったが、2分程経っても、
ピクリとも動かないルカスに焦れキケロは立ち上がった。
ドアに手を掛け、寝室を去る体勢を取ってみせる。
「でかけちまうぞ」
「・・・待て」
「・・・」
もぞもぞと、半身を持ち上げ焦点の合わない目で、
キケロを捉えるとルカスは逡巡した末、結論を出した。
「おまえと清く過ごしたい、
 おまえが俺に優しく接するなら俺もおまえに優しくしよう、
 おまえに興味が沸いていることは本当だ、
 だがまだ好きとまではいかない、勘違いするな」
「・・・」
「まず、考えてみたら俺もおまえの時計を一度壊している、
 御相子だ・・・」
「・・・ああ」
「企みは失敗だ」
「・・・」
「俺の言葉に何も動かされるところがないなら、どこへなりと行け」
「あ゛ーっ」
「・・・?」
「面倒っ・・・くせぇ!!!」
「何がだ」
「おまえが」
「・・・」
「なんで、素直に御願いの一つもできねぇんだよ?!
 おまえら上流の人間は!!」
「・・・」
「せっかくちょっと可愛いこと言ったと思ったら・・・、
 って、まぁ、おちょくった俺も悪かったけど」
時計が壊れた時閃いたのか、壊すことを予想して持って来た時計か、
恐らくは後者だろうルカスの回りくどさと周到さは、一方で、
キケロのために頭を使うルカスの図を妙に可愛らしく描いた。
「俺はな、おまえらお得意の駆け引きに答えられるほど、
 良い教育受けちゃいねぇんだよ」
「・・・」
「だから感情に従って行動するんだ、
 清くはできねぇが優しくしてやる」
「・・・清さのほうが重要なんだが」
「黙れ性奴」
自ら口にした罵り句で責められたのがツボに入ったのか知れない。
ルカスはキケロの冗談に一度顔を顰め、その後笑い出した。
朝の洋館には今度は電子音の変わり、人の笑い声が響いた。





(2008 4/20)



5月3日(土)22:21 | トラックバック(0) | コメント(0) | 短編 | 管理

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